参考リンク:認知行動療法の意義と課題一行動医学との関連から-
REBTとCTの違いについてのメモ。
(1)論理情動行動療法
1)沿革Ellis9)が創始した治療法である。この治療法は、従来は論理情動療法(rationalemotive therapy)とよばれていたが、最近、論理情動行動療法(rationalemotive behavior therapy)と名称を変更した(論理情動療法研究所刊行のProfessional Training Programs, 1993-1994による)。2)基本的な考え方この治療法の中核となる理論は、ABCDE理論である。ここで、Aはできごと・状況(Activatingevents)、Bは考え方(Beliefsystem)、Cは感情や行動にみられる結果( Consequences)、Dは論駁(Dispute)、Eは効果的な人生観(Effectivephilosophy)を意味する。この理論によれば、たとえば、「初対面の異性と思うように話せなかった」ということ(A)から、おちこんだり、その後その人と会うのを避けたりするなどの、いわば自滅的な感情や行動(C)が直接的に生じるのではない。多くの場合、「誰とでもいつでも気軽に話ができなくてはならない」、「彼女は僕のことをつまらない奴だと思っているはずだ」といった、AとCを結びつける不合理な考え方が介在する。そこで、治療者は、クライエントの不合理な考え方を論駁(D)する。結果として、クライエントは効果的な人生観(E)を獲得できるのである。なお、問題がどうして生じるか説明する部分をさしてABC理論ということもある。ところで、論理情動行動療法でいう不合理な考え方とは、人の目標や価値の実現を妨げる評価的な考え方のことをいう10)。具体的には、「大切だと思う全ての人たちから愛され、受容されなければならない」、「自分は有能で、適性があり、何かすばらしい業績をあげるのは当然だJ11) などの思いこみのことである。論理情動行動療法で重要な考え方として、人間の思考、感情、行動は互いに深く関連しあっており、これらは分かちがたいとする、「認知・感情・行動の一体論」もある10,12)。確かに、上に述べたABCDE理論では、Bつまり考え方が重要な意味をもつが、それは、決して認知を偏重していることではない。行動も感情も同様に重視されるのである。
(2)認知療法1)沿革2)基本的な考え方認知療法の基本的な考え方は、「認知モデル」とよばれる。それは、人が自分の世界(できごと・状況)をどうみるかによって、感情や行動の多くの部分が決まる、というとらえかたである。この考え方は、論理情動行動療法と同様である。認知の三特徴とは、自分自身、世界(体験)、未来に対する否定的な見方を意味する。これは、うつ病に限らず、不安障害など、広く他の病態でもみられる。私たちが、日常の経験にともなっていろいろな場面でふと抱くさまざまな考えや視覚イメージのことを「自動思考」という。自動思考とよばれるのは、それが自動的に、非常に速くあらわれるからである。自動思考は、私たちにはもっともらしく思われるだけに、それが正しいと思いがちである16)。たとえば、「自分はだめなやつだ」、「頼れる人なんていない」、「お先真っ暗だ」などは、うつ病者にみられがちな自動思考である。こうした自動思考には、「認知のゆがみ」といわれる論理上の誤りがある(表21川。自動思考はそのときどきにこころに浮かぶ思考だが、いわばこころの奥にあって、認知のゆがみをもたらし、自動思考をつくりだすもとになっているのが、「スキーマ」あるいは「信念(体系)Jといわれるものである。これは換言すれば、「人生の基本法則」であり、小児期の半ばにはできあがるとされる15)。たとえば、「私は誰からも好かれなければならないj、「自分がほしいものは何でも手にはいるはずだ」といったスキーマがある。
社会不安障害・認知行動療法の参考リンク集
認知行動療法について非常に丁寧に書かれている本。
「練習帳」の名の通り、社会不安を克服するためには地道なトレーニングが必要ですが、ひとつひとつ章立てて書かれているので、段階的にステップを登っていけます。自分の思考や行動を記録していくやり方の説明も明確でわかりやすく、具体的・実用的で、読むと励まされるような気持ちになれる本です。
人前で話すのが苦手、緊張して上がってしまう、自然に人付き合いができず、社交をつい避けてしまうという状態は「社交不安障害」と呼ばれる。もっとも頻度の高い精神的な困りごとの一つで、有病率は一割を超える。しかし、自分を縛る不安の正体を知って、有効なトレーニングを積めば、改善は十分可能だ。実際にカウンセリングセンターで使われるプログラムを紹介しながら、克服の方法を実践解説。
人前で話すのが苦手、緊張して上がってしまう、自然に人付き合いができず、社交をつい避けてしまうという状態は「社交不安障害」と呼ばれる。もっとも頻度の高い精神的な困りごとの一つで、有病率は一割を超える。しかし、自分を縛る不安の正体を知って、有効なトレーニングを積めば、改善は十分可能だ。実際にカウンセリングセンターで使われるプログラムを紹介しながら、克服の方法を実践解説。
具体的な治療法、不安にとらわれるメカニズムの解説などを解説した、SAD治療の入門書的な本。
わたしは数年前にこの本を読んだことがきっかけで治療につながれました。